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対象喪失と喪の仕事~大切なものを失ったとき~

 今回は、「対象喪失」について書きます。


 「対象喪失」とは、簡単に言うと「大切なものを失う体験」のことを言います。 人が大事なものを失うことは、精神的な苦痛を感じ、大きなストレスを引き起こします。


 この「対象喪失」は、人が生まれて約80年間の人生を終えるまでに、何度も経験することです。 できれば避けたいが、しかし絶対に避けることができません。 それでは、私たちは「対象喪失」にどのような対応をすると良いのでしょうか?




対象喪失はなにか?


 まず「対象喪失」とは、具体的にどのような体験のことを言うのか、整理しましょう。


 冒頭で「大切なものを失う経験」を「対象喪失」というと書きました。 これは、具体的なものだけでなく、身分や権威のような抽象的な存在や実際には存在しない幻想の中の存在も含まれます。


 これらは大まかに分類できます。


対象喪失

 1つ目は、家族やペット、または恋人や友人や子供の頃から大切にしていた宝物など実際に存在しているものとの別れが挙げられます。 まず家族や友人との死別や恋人との交際の解消による失恋、友人との喧嘩別れ、離婚、思春期以降の子供の心理的な親離れなどです。


 2つ目は、職業、環境、権威などの喪失です。 結婚、離婚、引っ越しによる日常環境の変化、昇進や解雇による職業環境の変化などの抽象的な存在を失うことが挙げられます。


 3つ目は、自分自身をめぐる喪失です。 病気による死の宣告や事故による身体の一部や身体機能を失うことが挙げられます。




外的対象喪失と内的対象喪失


 また、対象喪失は、自分の外にあるものと内にあるものとでも分類することができます。


 家族の死、恋人との別れ、引越しによる環境の変化など、自分の心の外にある人物や環境の喪失体験を「外的対象喪失」といいます。


 一方、現実には存在しているが、心の中での対象との別れや、その対象を失う体験を「内的対象喪失」といいます。


 これは、わかりづらいので、説明を加えます。 例えば、ここにお互いに信頼している夫婦がいるとします。 しかし、何かの原因で信頼していたはずのパートナーとの信頼関係が完全に崩壊しました。 つまり、実際のパートナーは存在しているけれど、今まで信頼していたパートナーは失ってしまったわけです。


 このような喪失を「内的対象喪失」といいます。 このほかにも思春期の子供が親に対して感じる「幻滅体験」も「内的対象喪失」といえます。




喪の仕事(ものしごと)


喪の仕事

 人は、様々なものを失い、生きていかなければなりません。 個人によってかかる時間は千差万別ですが、このような喪失体験は一連の心理的過程を辿って、受容されます。


 母子関係の研究で有名なイギリスの精神分析学者であるジョン・ボウルビィは、この心的過程を「喪の仕事」と呼び、4つ段階を辿ることを明らかにしました。


 第一段階 情緒の危機

 対象喪失が起こることによる激しい衝撃を受け、興奮、不安、無力感などのいわゆる頭の中が真っ白になる状態のことを指します。 これは急性期の状態で、数時間から長くて1週間程度の割と短時間で次の段階へと引き継がれます。


 第二段階 抗議・否認

 これは、ほんとうに対象を失った事実を受け入れられずに、否認したまま対象への愛情が続いている段階です。 恋人との失恋を例に出せば、別れたけれどまた自分に戻ってきてくれるのではないかという気持ちでいる状態です。 この段階は数ヶ月、長ければ数年にわたってつづきます。


 第三段階 断念

 もう失った対象が戻って来ない、永久に失ってしまったという現実を認める段階です。 この段階で、断念にすることによって本格的な対象喪失が体験されます。 強い絶望感に襲われ、場合によっては、ひきこもり、抑うつなどの状態に陥ることがあります。 また、身体的にも免疫機能が低下し、ときには様々な病気が発症を誘発する可能性もあります。


 第四段階 離脱

 この段階は、喪失した対象から心が離れ、自由になる状態です。 「対象喪失」による心理的な負担から立ち直る段階です。


 以上、これらが「喪の仕事」と呼ばれる、人が「対象喪失」を受容するまでの心的過程です。




心の健康(メンタルヘルス)の維持


 さて、ここまで「対象喪失」とその受容までの過程である「喪の仕事」について説明してきました。 誰しも、大切なものは失いたくありませんし、辛い思いや苦痛はできるだけ避けたいものです。


 しかし、諸行無常であり、人は「対象喪失」を避けて生きることはできません。 心の健康(メンタルヘルス)の視点で言えば、大切な人やペット、物を失ったときに「悲しい」、「つらい」と感じることが正常なのです。


 快感で満たされている世界は存在しません。生があれば死もありますし、出会いがあれば別れもあります。 それらの「対象喪失」を身構えることなく自然に自分のこととして捉え、絶望し悲しみ、そして諦め、失った事実を受け止めることが、大切なことだと思います。




おわりに


 人はどのような状況であれ、確実に大切な人やものを喪失し、苦悩します。 私も子供のころから共に過ごした飼い犬を亡くし、辛い思いをしました。 また前回の望妊治療の記事で顕微授精や体外受精で残念ながら妊娠には至らなかった方や流産された方の喪失体験を知ることで、「対象喪失」について考えることの重要性を知りました。


今年は、東北での大震災が起こり、多くの方が今も深い悲しみの中で生活しています。 被災者の悲しみは、震災を経験していない私の想像を絶するものでしょう。 長い時間をかけて、その悲しみから解き放たれる日が訪れることを祈ります。




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テーマ : メンタルヘルス
ジャンル : 心と身体

tag : 対象喪失 内的対象喪失 外的対象喪失 ボウルビィ 喪の仕事 メンタルヘルス 心の健康

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ふなきちのプロフィール

めっと

Author:めっと

本職は、鍼灸師です。鍼灸とは、鍼(はり)とお灸(きゅう)のことで、それらを用いて人の身体のケアをします。


現在は福岡市内で出張専門の鍼灸院を経営しながら、大学で心理学の勉強をしています。

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